ベトナム音楽の歴史

ベトナム音楽の歩み

今、ベトナムで親しまれている音楽には、ニャック・チェーと言われるポピュラー音楽と、 ニャック・クェ・フンと呼ばれる、二つの種類の歌謡があります。ニャック・チェーとは「若者音楽」 といった感じの言葉で、いわゆるポピュラー音楽です。一方、ニャック・クェ・フンは、「故郷の音楽」と いった意味です。故郷の美しさや若者たちの純愛などをテーマに、ゆったりと したリズムに独特の節回しで歌われます。

一方、ベトナム音楽の歴史を振り返ってみると、中国の影響下、様々な種類の宮廷音楽が ある一方、ザンカ(民歌)と呼ばれる民謡あります。

そして、フランスとの接触を経て20世紀前半になると新しいポピュラー音楽の流れが起こりました。 それまでのベトナム音楽は5音階でしたが、1930年代になると、グエン・ヴァン・チュエンなど西洋音階 (全音階)を用い、新しいベトナム音楽が生まれました。

これらの音楽は「新しい音楽」という意味の言葉、タン・ニャック(新音楽)と総称されます。

タン・ニャックは1940~1954年に最初の黄金時代を迎え、「スオイ・モ」など秋をテーマにした曲で知られる ヴァン・カオ、あるいはホン・クイ、ルー・フー・フォックなど若い世代の作曲家たちが 活躍するようになりました。

ロマンチックで優雅なメロディを持つラブ・ソングが多く、これらの音楽は後に ニャック・ティエン・チィンと呼ばれるようになりました。ニャック・ティエン・チィンとは「戦前音楽」という 意味ですが、この場合の「戦前」とは抗仏戦争の前という意味です。

その一方で、もう一つの音楽的流れがありました。 フランスの植民地支配のもと、独立の理想に燃える若者たちの間で、 愛国的・英雄的な曲が作られました。多くの作曲家たちが抗仏レジスタンスのメンバーとして 、作曲活動を続けていたといわれています。

1954年、ジュネーブ協定によってベトナムが南北に分断された後も、ハノイを中心とする北部では 英雄主義的な音楽が主流を占め、「革命音楽」という意味の言葉、ニャック・カック・マンと呼ばれ るようになりました。

一方、旧南ベトナムの首都サイゴンを中心とする南部では、欧米の影響のもと、いわゆる ポピュラー音楽が人気を集めていたようです。1960年代には、日本でもよく知られている作曲家、チン・コン・ソン などが数々の名曲を作っています。

1975年に南北ベトナムが統一された以降は、旧南ベトナムで人気を集めていたポピュラー音楽は、 演奏禁止となり、ベトナム全土で国民の志気を高める英雄主義的な音楽、つまり ニャック・カック・マン(革命音楽)が主流となります。

1986年にドイモイ、つまり社会刷新運動がスタートします。ドイモイの流れが顕著になった 1990年初頭には、海外に暮らすベトナム人、いわゆる越橋の音楽と、欧米のポピュラー音楽が国内にドッと 流入するようになります。

その一方で、ベトナム国内でも、カム・ヴァン、バオ・インなどのベテランに加えて、ホン・ニュン、タィン・ラム、ミー・リン、 それにタム・カ・アオ・チャンなど若い世代の国内歌手たちが登場してきました。

1997年になると、国内歌手たちが一挙にブレイク。 華人系ベトナム人歌手であるラム・チューンが、メガ・ヒットを飛ばしたことを皮切りに、 ハスキーボイスの女性歌手フン・タン、フエ出身のクァン・リン、あるいはトゥ・フォンなど、 それぞれ個性を持った歌手が、続々と登場。音楽シーンが俄然、活気づくようになりました。

そして、現在、ベトナムの国営レコード会社、民営レコード会社とも新人歌手の発掘・育成、売り出しに 力を入れています。そのため、以前は歌の下手な歌手が活躍することなど、ありえなかったのに、 今ではルックス、企画重視!というわけで、ちょっとトホホな気分にもなったりします。

それでも、大きく飛躍しようとしているベトナムの音楽シーンからは、 目が離せません。

ベトナム音楽総合サイト

Nhacso.net(ベトナム語)
ベトナム初のオンラインベトナム音楽サイトです。 国内有名歌手の1万曲以上が収録されており、すべて無料でオンライン視聴できます。

ベトナム音楽のCDアルバムを買うには

ベトナム音楽の音楽アルバムは、今だにV.A.中心です。つまり、複数の歌手によるコンピレーション・アルバムです。一人の歌手をフューチャーしたソロアルバムは、人気・実力がある一部の歌手限定、といった感じでリリースされていました。

最近は、ルックス重視、企画重視の傾向があるので、お世辞にも歌が上手いとはいえないソロアルバムもあるようですが・・・(^_^;

例えば、ミー・リンのように、アルバムごとにシッカリとコンセプトを据えて、じっくりとアルバム制作を行う歌手が増えてくれば、ベトナム・ポップスも、もっともっと面白くなると思うのですが・・・。

さて、気になる歌手のアルバム、あるいは、ちょっとお土産にベトナム音楽のCDを考えているならば、以下の音楽専門ショップ、それに大型書店の音楽コーナーが、充実した品揃えです。

ホーチミン市の音楽CDショップ

ヴァファコ・オーディオ|Vafaco Audio
ベトナムのレコード会社、ヴァファコ・オーディオ社の音楽ショップです。
住所:117A Nguyen Hue
Tel:84-8-822-4329
休み:日曜
ベンタイン・オーディオ・ビデオ|Ben Thanh Audio-Video
ベトナムのレコード会社、ベンタイン・オーディオ・ビデオ社の音楽ショップです。
住所:64 Ly Tu Trong
Tel:84-8-824-5947
休み:無休
スアントゥ書店|Nha Sach Xuan Thu
住所:185 Dong Khoi
Tel:84-8-822-4670
サイゴン書店|Nha Sach Sai Gon
住所:60-62 Le Loi
Tel:84-8-822-6386
グエン・フエ書店|Nha Sach Nguyen Hue
住所:40 Nguyen Hue
Tel:84-8-822-5796 824-3430

音楽関係のオンラインショップ

レロイ書店
1990年代から、音楽CD、音楽VCD、音楽DVD、ビデオ、カレンダーなどをオンライン販売しています。